小熊英二の対話集といえば、「戦争が遺したもの」新曜社で鶴見俊輔に上野千鶴子と共に「ここまで聞いていいの?」というぐらいの質問が随所にみれる緊張感あふれる仕事で、あの60年代後半を生きたものにとっては、「あれはそういうことだったんだ」という眼から鱗の本でした。
対話の回路は、小熊英二が2000年ごろから様々な相手と対談した成果をまとめたもので、「戦争が遺したもの」で小熊が示した対談への真摯な準備と丁寧な仕上げ方は引き継がれており、読者に時代の真実を見極める瞬間をもたらしてくれる。とりわけ網野善彦との対談は、網野が自分の言葉で自分の歴史観の変遷と「発見」の背景を述べており、貴重な資料にもなっている。小熊は、これまでの豊富な研究成果に裏付けられた「現代日本のナショナリズム」の解釈を機軸にしながら、様々な対話からグローバリズムの只中で流される私たちの立ち位置を見せてくれるようだ。
本書そのものも非常に興味深いが、小熊の「民主と愛国」を読んでおくとさらに理解が深まると思います。
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