Entries

シッダールタ

ヘッセの偉大さは、目に見張るものがある。シッダールタは、ゆきあたりばったりに生まれた小説ではなく、考え抜かれた思惟が小説になっている。それでも、一気に読ませてくれるのは、さすがです。高橋健二の訳は、古いですが、悪くない。というか、ヘッセの文体が短くて、わかりやすい表現とうことが大きいでしょう。

驚くのは、存在と時間の概念に言及していることで、そこが気になるところでした。仏教に対する理解は深く、同時期クリシュマムルテイが提唱していた考えと同調するものの、より明確な解釈が示されています。クリシュマムルテイは、そこにある花や、今飛んできたその鳥、そこに真実があると言うのです。そして瞑想。シッダルタは、そこにたどり着いてからも長い旅をするのですが、シッダールタでは、カーマストラとの哀しき交わりと生まれる子供、その子供に棄てられて、また自分、真我を見出してゆくという、現実社会の接点から真我に到達する、見事な円環を描いています。ヘッセはこの流れを自分の中で体験したのでしょう。

シッダールタ ヘッセ作 高橋健二訳 新潮文庫
この記事に対してトラックバックを送信する(FC2ブログユーザー)
http://nodava2004.blog15.fc2.com/tb.php/33-bec10a68

0件のトラックバック

2件のコメント

[C45] 帰国中です

アフリカ帰りにとっては風が少し冷たい東京ですが、その風に新生の匂いが微かにするように感じました。日本人特有の季節感でしょうか、新しい学年、新しい学校、新しい職場。それは遠い昔の夢の断片のようでもあります。半蔵門辺りの桜も咲きかけ、激しく変貌する東京にも変わらないものもあるようです。できれば、ヘッセの記したような変わらぬ思索を大事にしたいなと思います。ありがとうございます。

[C46] 故郷の春を

桜色に染まる街並みに、春風に散る思い出のひとひら。
季節ごとに心が動かされる、日本ならではの美しさですね。
シッダールタが到達するまでの真我は難しくて、カマーラがシッダールタの腕の中で息を引き取る時、ようやく分かるような気がしました。
若く美しく、燃えていた二人の面影と、老いて、あせはてている現在の二人が交差する場面です。
現在と過去も未来も同時だという感情
あらゆる生命の不壊不滅
あらゆる瞬間の永続性
一つ一つの文章に深い意味が込められていて、美しい描写が心にしみていきますね。
何度も読み返していく中で、少しでも理解できればと思います。
  • 2006-03-28
  • Natalie
  • URL
  • 編集

コメントの投稿

投稿フォーム
投稿した内容は管理者にだけ閲覧出来ます

Appendix

プロフィール

Moi

  • Author:Moi

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

ブログ内検索