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équité - 公平とは


公平という言葉は分かりにくい。平等とどう違うのだろう。
自由、平等、博愛ーliberté, égalité, fraternité
というフランスの普遍主義にéquité という言葉は無い。
そもそもフランス革命の当時に、「公平」という言葉が存在したのだろうか。

広辞苑によると、「公平」とは、「かたよらず、えこひいきのないこと」とある。
「平等」とは、「かたよりや差別がなく、すべてのものが一様で等しいこと」とある。
どうでしょうねえ、やっぱりわかりにくいですね。


公平という言葉は、例えばサンテグジュペリがよく使っている。


「僕は、自分が公平だか、不公平だかは知らない。ただ、僕が、罰しさえすれば事故は減少する。
ーー中略ーーもし僕が公平だったりしたら、夜間飛行は、一度々々が、致命的な危険の伴うものになるはずだ」
(サンテグジュペリ「夜間飛行」9章、リヴィエールの言葉から)
夜間飛行 サン=テグジュペリ・コレクション
サン‐テグジュペリ (著), Antoine De Saint‐Exup´ery (原著), 山崎 庸一郎 (翻




ここで訳されている「公平」は、「équité 」ではなくて「juste」です。
Suis-je juste ou injuste? Je l'ignore. Si je frappe,les pannes diminuent.Le responsqble, ce n'est pas l'homme, c'est comme une puisannce obscure que l'on ne touche jamais, si l'on ne touche paq tout le monde.Si j'étais très juste, un vol de nuit serait chaque fois une chance de mort.」

Vol De Nuit (Folio Series No 4) Antoine de Saint-Exupery

ますます分からなくなりました。justeとéquité の違いとは。
「夜間飛行」の文脈では、justeを公平と訳さざるを得なかったのでしょうか。
「正しい」という訳で、いいような気もしますが。

ポール ヴァレリーにも「公平」という言葉があります。
不公平を賞味すること。不公平とは一種の苦味剤で、これは孤独に風味を加えーー以下略」
ヴァレリー・セレクション (上) 平凡社ライブラリー (528)ポール・ヴァレリー (著), 東 宏治, 松田 浩則

はたして原文は、
Savoir l'injustice. L'injustice est un amer qui redonne du goût à la solitude, aguise l'appétit de séparation ---というわけで、「l'injustice.」が「不公平」となっています(Paul Valéry Tel quel, folio essqis, Chose tues, V)。

公平を社会学的にみるとどうなのか。社会経済学用語集
Lexique de science économiques et sociales- La DECOUVERTE-を調べてみた。
équitéの項目、冒頭に、「この不確かな言葉」という形容があります。やーっぱり。
équité; Ce terme imprécis renvoie à l'idée de justice: l'équité, c'est traiter les autre comme nous aimerions être nous même traités.
すなわち、「自分が受けていて快く感じている事を、他者に対しても同様にしてあげる」ということですね。
それで、この言葉は、justiceという考えから来ているということらしい。

fond d'équité : equity fund」という言葉がある。
例えば、地域住民の中で医療費を支払うには十分でない収入の人たちに対する支援システムとして、治療収入の何%かを積み立てたり、収入の多い人たちが少しづつ負担して形作るfundです。
これは、「公平」に保健サービスが住民に届くための一つの政策として試されています。

ここで、「平等」という言葉を使わないのは、医療費の支払いは「公平」に負担される、すなわち支払い能力に応じての負担ということを表したいと理解しています。

「équité 公平」とは、倫理的な意味合いの濃い言葉ではないでしょうか。
自分が「享受」している、例えば行政サービスが、それを受けられない人たちに対しても受けられるようになっているという社会。これが、「公平」な社会ということでしょうか。

この場合、公平性を欠いているという認識が不公平を蒙っている側になければ、もともとこの問題は生じないことになります。ここが倫理的な問題だということで、差別の考え方と通底しています。すなわち、不公平の側にいる者たちの気持ちに、そうでない人たちがどれだけ「思い遣る」ことができるかということで、この問題が生じることになるのではないでしょうか。

開発の世界で日常化して使われている言葉、住民の「エンパワーメント」というのは、結局のところ不公平な立場にある住民が、公平性を自らの手で確保できるようになる能力を持つことができるようになることではないか。不公平の側にいる者たちが気づき、そのことを言葉として表現できるようになるということなのでしょう。

日本はすこぶる「公平」な国だと思います(異論はあるかもしれませんが)。私たちが日常的に享受している快適さを、アフリカの人たちにも味わってもらえる日がきっと来ると信じています。








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2件のコメント

[C109]

私達、外国人にとってフランス語の単語の持つ微妙なニュアンスを理解するのはとても難しい事だと思います。
鋭く、かつ分かりやすい説明なので、とても勉強になりました。ありがとうございました。

[C111] Lemonさん

レモンさんのように日常的にフランス語に触れている方にはお恥ずかしい記事なので恐縮します。
equiteという言葉が使われるようになったのは、もしかすると米語の影響があるのかな、とも思いますが。思いつきです。いずれにしろ、おっしゃるように、仏語はいつまでたっても、大変なんです、私には(笑)。

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