暑さと湿気で浅い眠りの中、遠雷が聞こえたような気がした。朝、格子窓を開けると、どんよりとした空模様だが、少し空気は冷ややかだ。窓に近い床が濡れているので、強い雨が降ったと知る。
雨季になると、暑いが格子窓を閉めて寝なければならない。そうでなければ部屋中水浸しになることがある。コロニアル趣味の格子窓は、開放的で美しいが、ちゃんと締めても隙間風は入るし、雨滴も通り過ぎる。サッシ窓なら安心なんだけど、何だか味気ない。
危機管理を語るとき、安全性と快適さは反比例する。窓を開け放って、テラスで芳しい夜気を楽しむのは熱帯ならではの快楽だが、マラリアに罹患する可能性は高くなるし、強盗に襲われることもある。というように、サッシで締め切れば安全で雨も降り込まないけど、なーんだかつまらない。
熱帯の雨季、フランス語はhivernageで、hiver「冬」と関連する語、「冬篭り」とか「越冬の意味だ。雨季は、la saison des pluiesもあるが、熱帯に住んでみると、hivernageという感覚も実感できる。厳しい暑さの最中、突然訪れる激しい雨、気温はすっと下がり、空気はひんやりとする、この感覚だ。もしかすると、「梅雨」という言葉に日本人が心の奥で感じる、湿り気のある暑さの中にある、ほんの少しの冷たさに通じるかもしれない。
熱帯の雨季、マラリア蚊が増えて、蝿も増えてコレラが蔓延し、洪水で食べ物や人の行き来が不自由になる人間にとっては少し困った季節だが、作物を育てる人たちや、地球にとっては無くてはならない大切な季節だ。
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こちらも亜熱帯、スコールは涼を運んでくれます。
沖縄では、味気ないけど安全性を重視で、全てが台風仕様です。
建物は、ほとんどが鉄筋コンクリート、窓には何が飛んできても大丈夫なように格子がはめられ、サッシのガラスは割れても飛び散らないよう全面に針金が内蔵。大型看板は、秒速60メートル以上の強風を想定しての強度計算がされ、役所の設置許可が必要です。
だから、毎年10個近い台風が接近して直撃を受けても、人命にかかわるような被害は少ないのです。
厄介な台風ですが、少ない年は海水温が上昇してしまい、美しいサンゴに白化現象が発生という、悲しい事態になってしまいます。
地球は微妙なバランスで成り立っているのですね。