土曜日の夕方は、散歩がてら書店に行くことが多い。フランスのちょっとした書店ぐらいの規模と質がある。
開発途上国での長期滞在は、自然と親しむことはできるが、文化的に飢えるのが常だ。特に「硬い」本を読んでみたくなるものだ。こういう規模の書店が首都においてもある国は、少ない。
硬い本というわけではないが、Haruki Murakamiが新刊本の書棚にあった。わがHarukiは欧州での人気が確立したように思える。
新刊は、「ノルウェイの森」と「アフターダーク」、二つとも好きな小説だ
しかし、フランス語のタイトルは少しニュアンスが違う、「ノルウェイの森」は、La Ballade de l'impossible 、「アフターダーク」はLe passage de la nuit。
アフターダークは、「夜の抜け道、とかパサージュ」なので、まあわかる。しかし、「ノルウェイの森」は何故「不可能のバラッド」なんだろう。ちなみに英語でのタイトルは、「ノルウェイの森」は「Norwegian Wood 」、「アフターダーク」は「After Dark」だから、日本語と一緒だ。
なぜ、フランスで「ノルウェイの森」が「不可能のバラッド」か。
フランス人にとってもビートルズの世代はやっぱり「ノルウェイの森」を聞いているだろうし、若い人たちにとっては、これは日本の若者でも同じだが、小説を読んで聞いてみるということはあるかもしれない。冒頭を立ち読みしてみると、あのフランクフルト上空の場面で、30代になった「僕」が聞く機内放送で流れる曲は、「Norwegian Wood 」と記載されている。
フランス翻訳版のタイトルを変えたのは、原作者もおそらく承知済みだろうから、その意図を聞いてみたい気がする。
私の推測、「不可能なバラッド」というのは、死んでしまった直子への愛、「純愛」ということなのかもしれない。
もしそうだとするなら、こんな直截的に表現は、フランス人なのに野暮と思ってしまう。
「ノルウェイの森」の、あの乾いたメロデイから、置き去りにされた、または打ち棄てられた70年代が一気に浮かびあがってくる、これでいいと思うがどうだろう。
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なんてことはないんでしょうか。最近、また外国語の使用が引き締められている、といったようなニュースも目にしますが。